コラムCOLUMN
先日、「中国恒大集団が米国で破産法の適用を申請した」と報じられました。
一部メディアで、リーマンショックの再来などと報道され、不安を感じた方も多いのではないでしょうか?
現在のところ、金融市場はそのニュースに大きく反応していませんが、今後の状況は不透明です。
このコラムで騒動のポイントを押さえておきましょう
【中国企業が“米国”で破産申請?】
中国の不動産大手である中国恒大集団(エバーグランデ)は、米国ニューヨークの裁判所に連邦破産法15条の適用を申請しました。
同法が適用されれば、米国外の企業が米国内の資産を差し押さえられることなく、それを保護することができます。
今回の破産法の適用申請で、難航している外貨建ての債務再編交渉を前進させる狙いがあると見られています。
歴史を振り返ると、恒大は中国当局による不動産デベロッパーへの規制強化を受け、2021年にデフォルト(債務不履行)に陥っていました。
その後、経営再建を目指していましたが、中国の不動産市場は低迷し、資金繰りが苦しくなっていたという背景があります。
【現在の中国不動産市場】
中国のGDPは約4分の1を不動産関連が占めているといわれています。
2010年代は不動産への投機的な動きがあり、不動産デベロッパーが巨額の利益を上げていました。
そんな中、政府は「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」として、不動産デベロッパーへの規制を強化したのです。
その結果、不動産業界は低迷し、その業者の経営環境は一気に悪化しました。
現在、同じ中国不動産開発大手の碧桂園(へきけいえん、カントリーガーデン)も資金繰り難に陥っていると話題に上がっています。
【今後の見通し】
恒大は、「海外の債務再編を進めるための通常の手続きであり、破産の申請ではない」と声明を発表しているため、すぐに大きなショックが起きる可能性は低いかもしれません。
しかし、中国の不動産市況が上向く材料は少なく、恒大の経営再建の見通しは立ちづらいのが実情です。
このまま不動産市況が反転しなければ、恒大の問題から連鎖的に金融ショックが広がるリスクは否めません。
ただ、2021年に恒大の経営不安が報じられた際も、今回と同じようにリーマンショックに重ねられることがありましたが、実際の影響は一時的なものに留まりました。
中国と先進国の金融システムは、必ずしも密接な関係にあるわけではないのです。
【まとめ】
メディアはネガティブな情報ほど不安材料を強調して報じる傾向があり、実際の問題の規模より大きく取り扱われることがあります。
そのため、リーマンショックの再来、という今回の報道表現は少々行き過ぎているように感じます。
もちろん、恒大の問題が今後の金融市場を大きく揺るがす可能性はありますが、現時点で極端に悲観する必要はないと思われます
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