COLUMN
先日、大手格付け会社のフィッチ・レーティングスが米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」に1ランク引き下げました。
同社は、米政府の財政悪化や度重なる債務上限問題を格下げの理由に挙げています。
今回の格下げを受け、その発表の翌日の日経平均株価は2.3%下落、米国株(ナスダック)も2.2%下落しました。
民間の格付け会社は、債券を発行する企業や政府(発行体)の信用力や元利金の支払い能力を分析して、その格付けを行っています。
そのため、同じ発行体の債券であっても、格付け会社によって格付けが異なる場合があります。
債券投資家にとって、格付けは投資への安心感の目安となります。
ただし、投資適格格付であれば破綻する可能性がゼロというわけではないですし、投機的格付の債券に投資してはいけないというものでもありません。
「格下げ=発行体の信用力が下がった」ということになるため、通常、その債券は売られやすくなります。
債券価格が下落すると、金利上昇に圧力がかかるため、一般的には株価は下落するという構図になります。
実際、今回の格下げを受けて株価は下落しました。
実は、米国債が格下げになるのは今回が初めてではありません。
2011年に別の格付け会社S&Pグローバル・レーティングスが、同じようにAAAからAA+に格付けを引き下げています。
格下げの理由は今回と同じく、米国の債務上限問題が理由です。
しかし面白いことに、格下げによって株価が下落し、安全資産に逃避する動きの中で、結局は米国債よりも安全なものは無いという考えから、米国債は買われ、上昇したのです。
また、金融市場は一時的に大きく揺れましたが、数週間で落ち着きを取り戻しました。
今回の格下げは、株式市場が下落し、債券市場も弱い動きとなっており、ダブル安となっています。
しかし、著名投資家のウォーレン・バフェット氏はこの格下げのタイミングで米国債(短期国債)の買い増しをしています。
足元の米金利は急上昇し、債券価格は年初来で最安値を更新していますが、冷静にみて現状の米国債利回りは非常に魅力的な水準であるといえるでしょう。
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