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2026.04.09 経済・マーケット動向

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株価急落時は買うべきか、売るべきか―――歴史が教える「暴落時の投資戦略」

株価急落時は買うべきか、売るべきか―――歴史が教える「暴落時の投資戦略」

2026年2月末、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始し、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことを受け、金融市場ではリスク回避姿勢が強まり、株安・債券安・円安のトリプル安となりました。
連日のように流れる緊迫したニュースと、それに過敏に反応するマーケット。
投資家の皆さまが不安を感じるのは当然のことでしょう。

 

しかし、こうした「有事」の際にこそ、金融市場の性質を冷静に再確認する必要があります。
過去の金融危機と現在の状況を照らし合わせると、そこには資産を大きく育てるための重要なヒントが隠されています。

 

相場は「上がる時」よりも「下がる時」の方が圧倒的に速い

マーケットには、「上昇は時間をかけてゆっくり進む一方、下落は驚くほど短期間に進みやすい」という非対称性があります。
たとえば、下のグラフは、S&P500(米国株)の過去約2年間の推移です。

 

S&P500の推移(過去約2年間)

 

上昇局面では緩勾配であるのに対し、下落局面では急勾配となっています。
長期統計で見ても、下落局面は上昇局面の約3〜4倍のスピードで進行するとされています。
では、なぜこのような動きになるのでしょうか?
主に3つの理由が考えられます。

 

理由①:投資家の「損をしたくない」という心理

相場上昇局面では、多くの投資家は含み益を出している状態なので、気持ちに余裕があります。
仮に、買うタイミングを逃したとしても、損をしているわけではないので、大きく焦ることはありません。

 

一方、下落局面では、自分の資産がどんどん減っていくため、投資家心理を焦らせます。
人間は10万円を得る喜びよりも、10万円を失う苦痛を2倍以上強く感じるため(これを行動経済学で「プロスペクト理論(損失回避性)」といいます)、価格が下がり始めた際、「これ以上損をしたくない」という強烈な防衛本能が、冷静な判断を上回り、パニック売りを誘発するのです。

 

理由②:買い手の消失

市場は、買い手と売り手の需給によって成り立っています。
買いたい人が多ければ価格は上がり、売りたい人が多ければ価格は下がります。
イラン戦争のような予期せぬショックが起きると、買い手はリスクを嫌って一時的に市場から姿を消します。
その結果、買い注文が極端に少ない中で、大量の売り注文が出されることになるので、価格が急落するのです。
 

理由③:強制決済

信用取引やデリバティブ取引でレバレッジをかけている投資家は、価格が一定ラインを割り込むと、本人の意思に関わらずシステムによって強制的に売却させられます。
すると、売りが売りを呼ぶという事態になり、更なる下落を生み出すことになるのです。

 

今のマーケットは昔よりも下落スピードが速い!?

さらに重要なのは、現代のマーケットは昔よりも下落スピードが速いという点です。
かつてであれば数カ月かけて進んでいた調整が、今では数日から数週間に圧縮されることも珍しくありません。
現在の金融市場では、人間の判断だけで売買が行われているわけではなく、アルゴリズム取引や高速取引が大きな存在感を持っています。
特定のニュース、価格水準、ボラティリティの急上昇などをきっかけに、売買が瞬時に連鎖し、市場全体の値動きを一気に増幅させるのです。

 

つまり、現代の急落は、悪材料が大きいから急落するだけではありません。
市場の反応速度そのものが昔より速くなっているため、悲観が短時間で価格に織り込まれやすくなっているのです。

 

歴史が教えてくれる「急落は買い場になりやすい」という発想

では、これほど激しく、また急速に下落する市場を前にして、長期投資家はどう振る舞うべきでしょうか。
その答えは、金融市場の歴史の中にあります。

 

下のグラフは、S&P500の過去約30年間の推移です。

S&P500の推移(過去約30年間)

 

チャートを長期的に俯瞰すれば、2001年のITバブルの崩壊や2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック等、市場は何度も「致命的」と思える急落を経験してきました。
しかし、いずれのケースにおいても、パニックによって引き起こされた「実態以上の売り」は、時間の経過とともに修正されてきました。
なぜなら、短期的な急落は、企業の本来の価値を無視した「一時的なショック・歪み」であることが多いからです。
過去のデータによれば、有事による急落は、多くの場合において「絶好のバーゲンセール」であったことが証明されています。
もちろん、すべての下落が無条件に買い場になるわけではありません。
企業価値そのものが恒久的に毀損するケースは別です。
しかし、地政学リスク、景気不安、金融システムへの懸念、流動性の低下といった要因で市場全体が短期間に大きく売られる局面では、価格が本来価値以上に悲観を織り込んでしまうことが少なくありません。
現在の中東危機も、長期的なチャートの中では、将来の大きなリターンを生むための小休止に過ぎない可能性が極めて高いのです。

 

まとめ:短期のノイズを、長期の「好機」へと変える

下落スピードが速く、また値動きが激しい現代のマーケットでは、投資家の感情はかつてないほど揺さぶられます。特に、SNS上では不安を煽るような情報も錯綜するものです。
ですが、思い出してください。
過去に私たちが「もう終わりだ」と感じたあの暴落の数々は、数年後にはすべて「絶好の買い場」として語り継がれています。
短期的な暴落は、長期投資家にとっては「ボーナスステージ」です。
目先の激しい揺れに耐え、あるいは勇気を持って一歩踏み出す。その決断が、未来の皆さんに大きな実りをもたらすはずです。

 
※本コラムは一般的な市場解説を目的としたものであり、特定の投資行動を勧誘するものではありません。
最終的な投資判断はお客さまご自身でお願いいたします。

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