COLUMN
先日、年内のマイナス金利解除の可能性が浮上し、それを受け10年物の日本国債の利回りが0.7%台まで上昇しました。
※bloombergのデータをもとに、GOファンド株式会社が作成。
実際、市場関係者はそこまで早くの解除は想定していませんが、日本銀行(以下、日銀)の金融政策修正が一歩進んできたという印象を受けます。
ところで、「マイナス金利政策」とは?
言葉を聞いたことはあっても、その政策を説明して、と言われると少し困ってしまう方は多いのではないでしょうか?
そこで本日は、そもそもマイナス金利政策とは何なのか、もし解除されれば私たちの生活にどのような影響があるのかを解説していきます
【マイナス金利って何がマイナス?】
その名の通り、金利がマイナスということは分かりますが、よくよく考えると金利がマイナスってどういうこと?となりますよね。
これは、100万円のお金を預けると、99万9,000円になって返ってくるようなイメージです。
しかし、現在、銀行の普通預金の金利は確かに低いですが、マイナスになることはありません。
それでは何がマイナスなのでしょうか?
普段我々が利用している民間銀行は、日銀に預金口座を持っていて、お金を預けています。
日銀が「銀行の銀行」と呼ばれる理由はこれです。
その預金は、他の金融機関などへの貸付に利用されていたり、単純にお金を置いていたりと、預金している事情は様々ですが、日銀はその預金のほんの一部に年0.1%のマイナス金利を課しています。
これがマイナス金利政策です。
金利は様々なところに連動するため、この政策の影響を受けて、民間銀行間の貸出金利や短期金利(主に期間が1年未満の金利)がマイナスになっています。
【金利をマイナスにしている目的は?】
マイナス金利が設定された状態では、日銀にお金を預けていても、お金は増えるどころか減ってしまうことになります。
そうすると、民間銀行はお金を日銀に預けるのではなく、企業や個人にお金を貸し出そうという気持ちが強くなることが予想されます。
お金の貸し出しが増えれば、景気は上向き、長く続いたデフレ経済を脱却することができると日銀は考えたのです。
【もしマイナス金利が解除されたら…?】
私たちの身近な生活に最も関係するのは住宅ローンです。
住宅ローンには、大きく分けて固定金利型と変動金利型があります。
固定金利は主に長期金利(主に期間が1年以上の金利)に連動し、変動金利は短期金利に連動します。
昨年末から日銀が行っていたYCC(イールドカーブ・コントロール)修正は、長期金利の水準を調整しようとした金融政策です。
そのため、住宅ローンの固定金利は昨年から徐々に上昇しています。
一方、短期金利については、日銀がマイナス金利政策を保っていたため、金利は低下し続けていました。
今後マイナス金利が解除されると、短期金利上昇に伴い、変動型の住宅ローン金利も上がる可能性が出てきます。
過去の日銀の金融政策修正とその影響については、いくつかコラムにまとめていますのでご覧ください
「日銀、金融緩和修正」(2022年12月20日)
「住宅ローン金利はどうなる?」(2022年12月28日)
「日銀がYCC運用を柔軟化①」(2023年8月3日)
「日銀がYCC運用を柔軟化②」(2023年8月9日)
【まとめ】
日銀は2013年から始めた金融緩和の終着点を探っており、その動向は私たちの暮らしにも影響します。
特に、住宅は人生で最も高い買い物と言われるため、後悔のないように金利を選べると良いですね