COLUMN
投資信託を購入する際に「信託報酬」や「販売手数料」についてよくわからない方も多いのではないでしょうか。投資信託を選択する上でこれらの費用は運用成果に大きく影響を与えることがあります。
本記事では、信託報酬の概要と一般的な目安についてみていきます。新NISAで購入可能な信託報酬が低い投資信託の紹介もしているので、これから新NISAを活用して資産運用を進めていく予定の方にも参考になるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
信託報酬とは、保有している投資信託にかかる管理費用のことです。投資信託はプロに運用してもらう金融商品のため、運用や管理等に費用が発生します。
信託報酬は投資家が追加で支払うものではなく、保有している投資信託の純資産総額に対して一定の割合(たとえば0.5%)で計算された金額が、信託財産から毎日差し引かれる仕組みです。
信託報酬は投資信託によって異なるため、購入前にその投資信託の目論見書や販売用資料を通じて確認しておくとよいでしょう。
投資信託には前述で解説した信託報酬以外にも「販売手数料」や「信託財産留保額」といった費用があります。
・販売手数料
購入時に発生するコストとして「販売手数料」があります。申込価額の数%を購入時に支払う仕組みです。この販売手数料は販売会社ごとに料率が異なり、同じ投資信託であっても販売会社によっては無料で取り扱っていることもあります。
現在は、販売手数料が無料の投資信託(ノーロードファンド)が多く存在しており、投資家はこれらのファンドを選ぶことで購入時のコストを抑えることが可能です。
・信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託を解約する際に解約する人が支払う費用の事です。ただし、別途投資家が支払うのではなく、解約代金から差し引かれます。
投資信託内の資産(株式や債券)を現金化する際には手数料が発生することがあります。信託財産留保額は、これらの費用を解約する人が負担する制度で、投資信託を保有し続ける投資家に迷惑が掛からないようにするための費用です。
信託財産留保額は売却時の基準価額に対して、0.3%前後が目安となるでしょう。また、信託財産留保額は全ての投資信託に発生するわけではありません。
信託報酬は、年率0.1%程度から3%程度のものまで幅広く存在します。
一概に「信託報酬は安ければよい」というわけではありませんが、長期で運用した場合に、数%の信託報酬の差が、最終資産総額に大きな影響を与えるのも事実です。
信託報酬が年率1.5%の投資信託と、信託報酬が年率0.09%の投資信託で、年利5%で25年間運用した場合の最終資産総額を試算してみましょう。
・運用期間:25年間 ・積立金額:5万円/月 ・年利:5% ・積立総額:1,500万円 |
信託報酬が年率1.5%の投資信託で運用した場合の最終資産総額は約2,390万円です。
一方、信託報酬が年率0.09%の投資信託で運用した場合の最終資産総額は約2,940万円となります。その差は約550万円と最終資産総額に大きな開きがあることがわかります。
このように、数%の信託報酬の差が最終資産総額に大きく影響を与える可能性もあるため、投資信託を選択する際は、あらかじめ信託報酬を確認しておくことが重要です。
信託報酬は、各ファンドによって大きく異なります。投資信託は主に指数に連動した値動きを目指す「インデックスファンド」と、指数を上回る成果を目指す「アクティブファンド」に分かれており、信託報酬はインデックスファンドのほうが低く設定されています。
インデックスファンドの場合は年率0.1%~0.8%前後、アクティブファンドについては年率0.8~3%前後です。インデックスファンドは指数に連動するよう機械的に株式などを組み入れているため、人の手はほとんど必要とされず、信託報酬が低く設定されています。
一方のアクティブファンドは、ファンドマネージャーが企業のデータ分析等を実施し、人的なコストが多くかかることから信託報酬が高くなりがちです。
たとえば、インデックスファンド「SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド」の信託報酬は年率0.0938%程度(税込)とかなり低く設定されています。一方のアクティブファンドである「JPM日本株・アクティブ・オープン」の信託報酬は年率1.683%(税込)と、SBI・V・S&P500 インデックス・ファンドより高く設定されています。
販売手数料 | 信託報酬(税込)/年 | 信託財産留保額 | |
SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド | なし | 0.0938%程度 | なし |
JPM 日本株・アクティブ・オープン | 手数料率は3.3%(税抜3.0%)を上限とし、販売会社によって異なります。 | 1.683% | なし |
信託報酬の低さは長期的な運用においてコストを抑える重要な要素ですが、必ずしも低いほうがよいわけではありません。運用成績がよくないインデックスファンドはありますし、信託報酬が高かったとしても優れた運用成績を出すアクティブファンドも存在します。
そのため、信託報酬が低いインデックスファンドと高いアクティブファンドはそれぞれ異なる運用方法であることから、同一の基準で比較することは適切ではありません。投資家は自身の投資目的やリスク許容度に合わせて適切なファンドを選ぶことが求められます。
出典:SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド | SBIアセットマネジメント
JPM 日本株・アクティブ・オープン | JPモルガン・アセット・マネジメント
ここからは新NISAに対応し、信託報酬が低く、人気の高い投資信託を紹介します。今回紹介するのは次の2銘柄です。
・eMAXIS Slimシリーズ
・楽天インデックス・シリーズ
eMAXIS Slimは三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドシリーズです。
こちらのシリーズは合計14種類にもなり、代表的な投資信託は次のとおりです。
・eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) ・eMAXIS Slim米国株式(S&P500) ・eMAXIS Slim全米株式 ・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
とくに投資家から高い支持を得ているのは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」でしょう。
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、全世界の株式市場に投資しているファンドです。そのため、この商品1本を購入するだけで全世界の株式に分散投資が可能です。
また、年間の信託報酬が0.05775%以内(税込)という驚くほど低いレベルに設定されており、運用コストを大幅に削減できることから、多くの投資家がこのファンドに投資しています。
ただし、構成比率の約90%を先進国の株式が占め、そのうちアメリカが約62%にも上ります。そのため、全世界にバランスよく投資をしたい場合は、新興国などへの投資比重が高い投資信託も組み入れる必要があるでしょう。
出典: eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)| 三菱UFJアセットマネジメント
続いては楽天インデックス・シリーズです。このファンドは、楽天投信投資顧問株式会社とバンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社がタッグを組んで実現した投資信託になります。
こちらのシリーズは合計9種類となり、代表的な投資信託は次のとおりです。
・楽天・全米株式インデックス・ファンド ・楽天・全世界株式インデックス・ファンド ・楽天・新興国株式インデックス・ファンド ・楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型) |
注目は、楽天・全米株式インデックス・ファンドでしょう。このファンドは米国株式市場で投資可能な銘柄、小型株から大型株まで約4,000銘柄が対象となります。
そのため、米国株式を中心とした投資をしたい方や、日本だけではなく米国への投資を検討している方にもおすすめといえるでしょう。信託報酬も年間0.132%(税込)とかなりの低水準で買付が可能です。
出典: 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 楽天投信投資顧問
ここまで、手数料の安いインデックスファンドを紹介してきましたが、多少手数料が高くても市場平均を大きく上回る成果を目指したい方もいるでしょう。
GOファンドが提供している資産運用サービスは、投資信託ではありませんが、販売手数料・解約手数料は0円で、コストとしては運用益の30%の成功報酬と管理報酬として年率2%を負担いただきます。
GOファンドは独自の投資戦略を用いて世界中に分散投資をしながら年率15%以上(※)のリターンを目指します。
※運用報酬や取引にかかる費用を考慮して計算しています。税金は計算に含まれていません。将来の運用成果を保証するものではありません。2001年1月から2020年5月までのGOファンド投資戦略を用いたパフォーマンスシミュレーションと2020年6月より運用している私募ファンドの実際のパフォーマンスを使用して算出したものになります。
初回最低入金額も10万円からと比較的低く設定されており、投資初心者でも始めやすくなっています。
ネットで、最短3分で口座開設の申し込みができるので、この機会にGOファンドで資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
信託報酬とは、保有している投資信託にかかる管理費用のことです。投資信託によって信託報酬は異なり、インデックスファンドの場合は0.1~0.8%前後、アクティブファンドについては0.8~3%前後です。
信託報酬の低さは長期的な運用においてコストを抑える重要な要素ではありますが、必ずしも低いほうがよいわけではありません。信託報酬が高いアクティブファンドが市場平均以上の優れた運用成績を出すこともあります。
そのため、投資信託を選択する際は信託報酬といった費用だけに捉われるのではなく、自身の求めているリターンやリスク許容度に合った投資信託を選びましょう。
<執筆者プロフィール>
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社 代表
1984年8月3日生まれ。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。