COLUMN

コラム

2023.11.15

どうやったら長期投資できる?

本日は、金融の勉強、というよりも投資をする上でのメンタルについてお話したいと思います。
この「長期投資」というのは、本当に言うは易く行うは難し、の典型例です。
最初は皆さん、長期投資するつもりで投資を始めるのですが、多くの人は途中で挫折してしまいます。

資産運用会社は、一般的に10年程度の長期でパフォーマンスを上げることを目標にしていますが、投資家の投資信託の平均保有期間は2.87年と非常に短いです。
なぜ人は長期投資できないのでしょうか?

※出典:金融庁「全ファンド・バランス型ファンドの平均保有期間」のQUICK分類名:全ファンド、区分:全体、アクティブ型・インデックス型両方の未解約保有者の平均保有期間(2022年末)

【多くの人は得をすることより損をしないことを選ぶ】
3つ質問です。
何度もチャレンジできるとして、皆さんはそれぞれAとB、どちらを選びますか?

Q1:A)80%の確率で50万円貰えるが、20%の確率で何も貰えない
    B)確実に30万円貰える

Q2:A)80%の確率で50万円支払わなければならないが、20%の確率で1円も支払わなくて良い
    B)確実に30万円支払う

Q3:50%の確率で5万円貰え、50%の確率で3万円支払うゲームがあります。
    A)参加する
    B)参加しない

Q1では、Bを選ぶ人が多いとされています。
30万円を無条件で貰えるので、人はこの機会を逃すと損だと感じるためです。

Q2では、Aを選ぶ人が多い傾向があります。
人は出来る限り損失を回避したいため、多少のリスクを背負っても損失を減らそうとします。

Q3では、Bの参加しないを選ぶ人が多いようです。
単純に金額を比べると、利益の方が上回っていますが、ゲームに負けると損失を被ってしまうため、ゲームへの参加率は低下します。

このように人は損失を回避する選択肢を過大評価する傾向があり、確率論を軽視して意思決定を下すことがあります。
これは行動経済学の「プロスペクト理論」と呼ばれ、マーケティング活動でも活用されています。
「買った方がお得」よりも「買わないと損」と言われる方が、ドキッとしてしまいますよね

【長期投資で一度も損をしないことはない?】
前述の通り、人は得をすることより損をしないことを選ぶ傾向があります。
しかし、投資をする中で一度も損をしない、ということは恐らくありません。
下のグラフは、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500の過去50年間の推移です。
S&P500の推移
※Bloombergのデータより、GOファンド株式会社が作成。

よく「アメリカの株価は過去50年以上ずっと上昇をしてきた。」と言われることがありますが、当然、一直線の右肩上がりに推移してきたわけではありません。
大なり小なりの下落を乗り越えながら上昇してきました。

過去を振り返ると、

1929年 世界恐慌
1987年 ブラックマンデー
1997年 アジア通貨危機
2008年 リーマンショック
2020年 コロナショック
というように、最近はおおよそ10年毎に大きな金融危機が発生しています。
また、ここに書ききれない小さなショックは無数に起きています。

つまり、10年20年といった期間で長期投資していくのであれば、こういった出来事には必ず当たると言っても過言ではありません。
これは、どの投資対象でもいえることで、安全資産と言われている国債市場においても、足元で歴史的な暴落が発生中です。

このような暴落は、投資を始めて1年目に当たるかもしれませんし、10年目かもしれませんが、長期間投資をしている人で「自分の資産価格が大きく下がる経験をしたことがない」という人はまずいません。
しかし、人間は損失回避の傾向が強いため、「将来利益を得られるかもしれないが、目の前の損失が嫌だ、怖い」という意識になり、多くの方が、暴落のショックで怖くなり、長期投資を途中で挫折してしまうのです。

【終わらない金融危機はない】
終わりが見えない金融危機の中に居ると、不安な気持ちに押しつぶされそうになってしまいます。
自分のお金が減って平気な人はいません。

しかし、皆さんに声を大にしてお伝えしたいのは、「人類は過去全ての金融危機を乗り越えてきた」ということです。

実際、米国株(S&P500)に20年前から100万円を投資していた場合、約551万円に増えています(2003年10月末と2023年10月末を比較して計算。なお、それぞれ時点のドル円の為替レートで円換算して比較。)
また、これは直近の20年だけではなく、過去どの20年間を切り取っても、100%の確率で元本割れせずに利益が出るという検証結果があります。
しかもその平均リターンは+234%(100万円が334万円)となっています。
※1971年1月末から2023年10月末までの各月末のデータで計算し、各月末時点のドル円の為替レートで円換算しています。

未来は分かりません。
その金融危機が半年で乗り越えられるものなのか、5年かかるのか、10年かかるのか、誰にも分かりません。
しかし、間違いなく人類は全ての金融危機を乗り越え、今を生きています。

債券市場は昨年から、過去100年間で最悪の水準で暴落し続けており、GOファンドにご投資いただいているお客さまには大きなご心配をおかけしているかと思います。
ただ、全てのことに終わりがあるように、金融危機にも終わる時は来ます。
具体的にいつ事態が好転すると断言することはできませんが、皆さんの明るい未来のために、是非中長期的にお付き合いしていただければ幸いです。