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2025.04.14

FXとは?初心者向けの基礎知識をわかりやすく解説

 

お金を増やしたいので、FXを始めてみたいと考えている方もいるでしょう。FXはリスクが高いというイメージがありますが、やり方次第ではリスクを抑えて取引をすることも可能です。

 

この記事では、FXの基礎知識や仕組み、リスクについて解説しています。これからFXを始めたい方、お金を増やす方法を探している方はぜひ最後までお読みください。

 

FXってなに?

 

FXとは通貨を交換したときに、発生する差額を狙って利益を得る投資方法です。

 

日常生活の中で通貨同士を交換する代表的なケースとして、海外旅行があります。

 

例えばアメリカに旅行に行く際は、現地で買い物をするために米ドルを用意しなければなりません。手元に30万円があり、1ドル100円のときに米ドルに交換すると3,000ドルと交換できます。

 

しかし1ドル120円のときに交換すると2,500ドルになってしまいます。逆に1ドル80円のときに交換すると、3,750ドルと交換が可能です。

 

逆に帰国したケースも考えてみましょう。帰国時に500ドル余ったとします。余った500ドルを1ドル105円のときに交換すると5万2,500円、1ドル90円のときに交換すると、4万5,000円になります。

 

このように同じ日本円と米ドルの交換でも、為替レートがいくらのタイミングで交換するかで受け取り額が変わってきます。この仕組みを活用した投資方法がFXです。

 

FXとはどんな意味?

 

FXは「Foreign Exchange」の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「外国為替証拠金取引」と言います。

 

外国為替とは二国間の通貨を交換すること、証拠金とはFX口座に入れておくお金のことで、証拠金取引とは証拠金を使用して行う取引のことを指します。

 

FXはどんな仕組み?

 

FXは二国間の為替レートの動きを利用して利益を狙う投資方法です。FXの最大の特徴は、差金決済を行う取引という点にあります。

画像:筆者作成

 

差金決済とは、FXは取引の際に必要なお金の全額を用意せず、通貨を交換したときの差額だけを受け取る、または支払う取引のことです。

 

差金決済について分かりやすく説明するために、AさんがBさんから10万円分の金を購入するケースを紹介します。

 

一般的な現物決済では、Aさんは10万円をBさんに支払って金を購入します。手元にある10万円の金を、他の人に11万円に売却すれば1万円の利益が得られるという仕組みです。

 

一方、差金決済ではAさんとBさんは現金と金の交換をしません。例えば、1年後の金の価格について取引をした場合、1年後、金の価格が1万円値上がりしていたら、AさんはBさんから差額である1万円を受け取ります。逆に1万円値下がりしたら、AさんはBさんに差額を支払います。

 

差金決済では、新規で通貨を購入するときにお金を受け渡す必要はありません。しかし取引による損失が大きすぎると、手元資金がなくなってしまい、決済ができなくなるリスクがあります。

 

そこでFXでは、取引で損失が出ても決済ができるよう、一定の金銭をFX口座に預けておく必要があります。このお金のことを証拠金といいます。

 

また差金決済は、実際に現金と通貨の交換をするわけではないため、少ない金額で大きな金額の取引ができる「レバレッジ取引」や、売りから取引をスタートすることが可能です。

 

FXは2種類の利益がある

 

FXは為替差益とスワップポイントという2つの利益があります。二国間の通貨を交換することで、なぜ2つの利益が生まれるのか?その仕組みについて解説します。

 

為替差益

 

二国間の通貨の変動によって得られる利益のことを、為替差益と言います。

 

例えば1ドル100円のときに100万円では1万ドル購入できます。

 

仮に1ドル110円になったタイミングでこの1万ドルを売却すると、110万円になります。100万円で購入したものが110万円になったので、得られる為替差益は10万円です。

 

一方、1ドル90円になったタイミングで1万ドルを売却すると、受け取れる金額は90万円になります。100万円で購入したものが90万円になってしまったので10万円の損失が出たことになります。為替差益に対して、この損失のことを為替差損と言います。

画像:筆者作成

 

またFXは差金決済を行う取引のため、手元に通貨がなくても売りから取引が始められます。

 

例えば米ドル円の取引で、1ドル100円のときに1万ドルを売却します。1ドル90円になったタイミングで、円を買い戻せば得られる為替差益は10万円です。

 

一方、1ドル110円になったときに円に買い戻すと、10万円の為替差損が発生します。

 

このように現物取引では、価格が上昇しなければ利益になりませんが、FXのような差金決済では、今後価格が上昇すると予想できるとき、下落する予想できるときのどちらでも利益を狙えるという特徴があります。

 

スワップポイント

 

スワップポイントとは、二国間の通貨の金利差から発生する利益のことです。FXで通貨を交換するということは、どちらかの国の通貨を購入しもう一方を売却する、あるいはその逆の取引を行っていることになります。

 

FXでは買った通貨の利子を受け取ることができる反面、売った通貨の利子を支払わなければなりません。

 

しかし通貨によって金利は異なるため、金利差が発生します。この金利差で得られる利益をスワップポイントと言います。

画像:筆者作成

 

スワップポイントは、二国間通貨のうち金利が高いほうの通貨を買い、低い方の通貨を売ることで発生します。

 

スワップポイントは、売り・買いをおこなった二国間通貨(これを通貨ペアといいます)を保有したまま日をまたぐと付与されます。ただし毎日付与されるわけではなく、土日祝日など複数日分まとめて付与される日や、付与されない日もあります。

 

また金利の低いほうの通貨を買い、高いほうの通貨を売ると、マイナススワップとなり、金利を支払わなければなりません。

 

今はスワップポイントが発生していても、各国の金利の変化によっては、マイナススワップに転じる可能性もゼロではありません。スワップポイントで利益を狙う方は、通貨ペアごとのスワップポイントを定期的にチェックしておきましょう。

 

なおスワップポイントは通貨ペアや、FX会社ごとに異なります。

 

FXのレバレッジとは?

 

 

レバレッジとは「てこの原理」という意味があります。FXにおけるレバレッジとは、少ない証拠金で大きな金額の取引ができる仕組みのことです。

 

1ドル100円のときに米ドルを1万ドル購入するためには、本来100万円の証拠金を用意する必要があります。これはレバレッジが1倍の状態を指します。

 

しかし仮にレバレッジを25倍に設定すると、約4万円の証拠金で1万ドルが購入可能となります。

 

仮に1円円安になった場合、レバレッジ1倍のときも、レバレッジ25倍のときも同じ1万円の為替差益になります。

 

レバレッジ1倍は100万円の証拠金で1万円、レバレッジ25倍は4万円の証拠金で1万円の為替差益が得られるため、レバレッジ25倍のほうが、効率的にお金を増やせると考えることができます。

 

レバレッジはリスクをしっかり見積もることが大切

 

レバレッジは少ない自己資金で大きな金額の取引ができる反面、大きな損失を被る可能性があります。

 

例えば100万円の証拠金を持っている方が、レバレッジを利用して、10万ドルを購入したとします。

 

1ドル100円のときに10万ドルを購入するには、本来1,000万円の証拠金が必要であり、100万円の証拠金では取引ができないはずです。

 

しかしレバレッジ25倍にすれば、40万円の証拠金で1,000万円分の取引が可能になります。

 

ただしこのケースでは、1円円高になっただけで10万円の損失が発生します。レバレッジを高くすると少ない証拠金で大きな通貨量の取引ができますが、その分値動きのリスクが大きくなる点には注意が必要です。

 

FXの取引を始めるまでの流れ

 

FX取引を始めるには、取引をしたいFX会社を選んで申し込み、FX会社の審査に通過しなければなりません。FX会社選びから、実際に取引を始めるまでの流れについて見ていきましょう。

 

FX会社を選ぶ

 

FX会社ごとに取り扱っている通貨ペアやスプレッド、スワップポイントなどが異なります。スプレッドとは、売値と買値の差額のことで、FXにおける実質的な手数料です。スプレッドが狭いほど手数料が安く、広いほど手数料が高いことになります。

 

近年ではアプリで取引をしたり、FXに必要なニュースや知識を収集したりできるFX会社も増えています。そのためアプリや取引画面の使い勝手の良さも、FXを選ぶ際の重要なポイントです。

 

口座開設をする

 

取引をしたいFX会社が決まったら、口座開設をします。パソコンやスマートフォンから申込フォームに必要な情報を入力し、本人確認書類とマイナンバー書類をアップロードするだけで申し込めます。口座開設をするために、店舗に足を運んだり、対面で手続きしたりする必要はありません。

 

口座開設の申し込みと必要書類を提出した後にFX会社の審査があり、審査に通過すればFX口座が開設されます。

 

FX口座に証拠金を入金する

 

FX口座が開設されたら、必要な証拠金を入金します。証拠金の入金方法は、FX会社によって異なりますが、主にネットバンキングを通じて入金する方法と、FX会社の口座に振り込む方法の2つがあります。

 

取引を始める 

 

FX口座に証拠金を入金したら、通貨の注文が可能になります。選択した通貨ペアの今後の為替レートの値動きを予測して、注文を出します。

 

FXでおさえておくべきリスク

 

FXは差金決済を行う取引のため、他の投資にはない固有のリスクがあります。FXをするうえで、おさえておきたいリスクを5つ紹介します。

 

レバレッジで大きな損失が発生するリスク

 

レバレッジを大きくすると、少ない証拠金でも大きな利益を狙えます。しかしレバレッジを大きくした取引は、値動きによるリスクが相対的に大きくなる点に注意が必要です。 

 

FX取引にまだ慣れていない初心者のうちは、レバレッジは高くても3倍程度に留めておきましょう。

 

レバレッジを上げた取引は、FXのトレード経験を積んで勝率が高くなってから検討するようにしてください。

 

ロスカットのリスク

ロスカットとは、未決済の損失である含み損が一定水準以上に達すると、保有しているポジションをすべて強制的に決済する仕組みのことです。

 

ロスカットは本来、投資家の損失拡大を防ぐセーフティネットの役割があります。しかしロスカットになると、大きな損失が発生する可能性があります。

 

FX会社ごとに定められた証拠金維持率を下回るとロスカットになるため、証拠金維持率を常に確認して、必要に応じて追加で証拠金を入金したり、ポジションの一部を決済したりするなど適切な資金管理を心がけましょう。

 

証拠金維持率は、FXの取引画面に表示されています。

 

相場が急変するリスク

 

為替レートは、各国の金利政策や景気などさまざまな要因で変動します。

 

特にアメリカの雇用統計や消費者物価指数(CPI)、購買担当者景気指数(PMI)、FOMC(連邦公開市場委員会)など、重要な経済指標の発表や経済イベントがあると、内容次第で相場が急変する可能性があるため注意が必要です。

 

チャートを見ながら慎重にトレードをしていても、こうした経済イベントの発表内容次第では、セオリーとは異なる動きをすることがあります。

 

FX初心者は、為替レートに大きな影響を与える経済イベント前後は、ポジションを持たないことをおすすめします。多くのFX会社は、為替レートに大きな影響を与える経済イベントの日程を時系列でまとめているため、確認しておきましょう。

 

相場の急変の影響を受けて、大きな損失を被る場合もあるため、自身の想定と反対の方向に為替レートが動いたときは、損失を最小限にするために早めの損切りを心がけることも大切です。

 

損切りとは、損失の拡大を防ぐために自ら損失を覚悟で保有しているポジションを決済することです。

 

取引がすぐに成立しないリスク

 

トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなど取引量や取引参加者が少ない通貨の場合、売り手と買い手が見つかりにくく、思ったような価格で取引ができない可能性があります。

 

FX初心者は、米ドルやユーロ、円など世界的に多く出回っているメジャー通貨と呼ばれる通貨での取引を心がけてください。

 

メジャー通貨同士の通貨ペアの一例としては、次のようなものがあります。

 

  • 米ドル/円
  • ユーロ/円
  • ユーロ/米ドル
  • ポンド/円

 

スリッページが発生するリスク

 

FXでは実際に注文をしたときの為替レートと、実際に注文が成立したときの為替レートの間にズレが生じる、スリッページが生じることがあります。

 

スリッページは重要な経済イベント直後や大口の注文が入ったことで為替レートが急変し、注文をしてからFX会社のサーバーに注文が届くまでの間に為替レートが変わってしまうことで発生します。

 

自身にとって不利な方向にスリッページが発生すると、思わぬ損失につながるため注意が必要です。

 

注文するときのスリッページのズレ幅を、どこまで許容できるか設定できる機能を用意しているFX会社もあります。

 

スリッページによる損失を避けたい方は、活用すると良いでしょう。

 

お金を増やすならファンドもおすすめ

 

FXは、二国間の為替レートの動きを利用して利益を狙う投資方法です。

 

また為替市場は東京、ロンドン、ニューヨークなど世界各地で開かれているうえ、平日であれば常にどこかの市場が動いているため、ほぼ24時間取引をすることができます。

 

ただし仕事や家事で忙しい方は、常にFXの取引画面と向き合って売買をするのは難しいでしょう。

 

お金を増やしたいけれど投資をする時間が取れない方は、ファンドでの運用も検討してみましょう。

 

日本には非常に多くのファンドがあります。

長期・積立・分散投資を心がけることで、リスクを抑えた運用をすることも可能です。毎月自動で積立投資をすることもできるため、ファンドでの運用は仕事や家事で忙しい方向けと言えます。

 

まとめ

 

FXの利益には為替差益とスワップポイントという2つの利益があるため、短期的にお金を増やしたい方、長期的にお金を増やしたい方どちらにも対応できる投資方法です。

 

ただし相場の急変により為替レートが大きく動き、ロスカットになると多大な損失を被る場合があるため注意が必要です。

 

FXを始めて間もない時期は、低いレバレッジでの取引を心がけましょう。またロスカットにならないよう、証拠金維持率に常に注意を払い、必要に応じて証拠金を追加で入金したり、ポジションを整理したりすることも大切です。

 

<執筆者プロフィール>

金子賢司(かねこけんじ)
CFP
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。