COLUMN
日銀のマイナス金利解除の影響で金利を引き上げる金融機関が増えているため、定期預金について気になっている方もいるのではないでしょうか?
定期預金は一定額まで元本保証があるため、計画的にお金が増やせる反面、投資信託や株式、債券といった金融商品に比べると、ほとんどお金が増えないというデメリットもあるため注意が必要です。
この記事では、定期預金の種類やメリット・デメリットについて解説しています。これから定期預金をはじめてみたい方、貯金を検討している方はぜひ最後までお読みください。
定期預金とは1年、2年など預入期間を事前に決めて、金融機関にお金を預ける金融商品です。
原則、満期日まで引き出しができない代わりに、自由に引き出せる普通預金に比べて金利が高めに設定されています。
定期預金が満期をむかえた場合、「解約」あるいは「自動継続」の手続きを行います。解約は、定期預金が満期をむかえると解約となり、元本と利息が普通預金口座に振り込まれる仕組みです。
一方、自動継続は、満期になると、自動的に同じ期間の定期預金に預け替える方式です。元本のみ預け替える「元金自動継続」と、元本と利息を預け替える「元利自動継続」の2通りがあります。
また似た商品名で定期貯金という金融商品もありますが、一般的にゆうちょ銀行、農業協同組合、漁業協同組合で扱っているものを「定期貯金」、ゆうちょ銀行以外の銀行、信用金庫、信用組合で扱っているものを「定期預金」と呼び、両者に違いはありません。
定期預金は、日銀が2024年3月にマイナス金利の解除を発表して以降、金利の引き上げを発表している金融機関が増えており、注目を集めています。
定期預金の種類は、さまざまな分類方法がありますが、ここでは固定金利、変動金利、外貨定期預金に分類して紹介します。
はじめに預け入れたときの金利が、満期日まで適用される一般的な定期預金 です。市中の金利が変動しても、定期預金金利は変わりません。
預入金額300万円未満の「スーパー定期」、300万円以上の「スーパー定期300」 、1,000万円以上の「大口定期預金」があり、預入金額が高い商品のほうが、金利が高めに設定されていることが一般的です。ただし金利情勢によっては差がつかないこともあります。
その他 、預け入れた後に満期期日を指定して引き出しができる「期日指定定期預金 」、毎月一定額を積み立てる「定期積金 」や「積立定期預金 」などがあります。
6ヶ月ごとなど、一定期間ごとに金利が変更されるタイプの定期預金です。
仮に預け入れたときよりも金利が下がれば、固定金利のほうがメリットがありますが、金利が上昇している局面では、変動金利タイプの定期預金のほうがメリットがあります。
変動金利も主に300万円未満、300万円以上1,000万円未満、1,000万円以上の3種類があり、預入金額が大きいほうが高い金利が設定されていることが一般的です。
外貨定期預金は、円を米ドルやユーロといった外貨に交換して、定期預金に預ける商品です。日本よりも金利が高い国の通貨に交換して、定期預金に預けることで、より多くの利息が得られる可能性があります。
ただし外貨定期預金は、為替リスクがある点には注意が必要です。具体例を見ていきましょう。
例えば為替レートが1ドル100円のときに、100万円を米ドルに預けたとします。
1年で5%の利息が付いて、10,500ドルに増えたとしても、受取時に円に交換したときに1ドル90円になっていると、「90円×10,500米ドル=94万5,000円」になってしまい元本割れしてしまいます。
逆に円に交換したタイミングで、1ドル110円になっていたときに円に交換すると、「110×10,500米ドル=115万5,000円」と大きく増えます。
このように外貨定期預金は高金利が期待できる反面、受取時の為替レートで受取額が大きく変動するリスクがある点に注意しなければなりません。
また預け入れ、引き出し時に手数料がかかる場合もあるため、申込時に確認しておきましょう。
定期預金は、普通金利より金利が高い金利が適用されるため、効率的にお金を増やせます。定期預金の主なメリットを3つ紹介します。
定期預金に預け入れたときに適用される金利は、普通預金金利よりも高めに設定されていることが一般的です。
適用される金利は預入期間ごとに異なり、基本的に預入期間が長い定期預金ほど高い金利が適用されます。
当面使う予定がないお金があるときは、定期預金に預けておけば、普通預金より効率的にお金を増やせます。
定期預金は元本が保証された金融商品です。仮に満期前に定期預金を解約した場合、当初約束した利息は支払われませんが、元本が減ることはありません。固定金利の定期預金であれば、満期時の受取額が変わらないため、資金計画が大きく変わるリスクが少なく安心です。
元本割れする恐れがある株式や投資信託と比べると、安心して資産形成ができる金融商品といえるでしょう。
また金融機関が破綻したら、定期預金がどうなるか不安に感じる方もいるかもしれません。
定期預金は預金保険制度の対象となるため、仮に金融機関が破綻したとしても1金融機関あたり1,000万円とその利息までは、預金保険機構が保証してくれます。この仕組みのことを「ペイオフ」といいます。
ただしペイオフの対象となるのは、日本に本店がある銀行等に限られます。また日本に本店がある銀行でも、海外の支店は対象外になる他、外国銀行の在日支店も対象外です。
さらに外貨定期預金もペイオフ対象外のため、注意してください。
定期預金は1ヶ月、3ヶ月、1年など預入期間が短いものから、10年と長いものまでさまざまなプランが用意されています。
金融機関によって扱っているプランが異なりますが、自身の貯蓄の目的に合わせたプランを選ぶことで効率的にお金を増やせます。
例えば3年後までに結婚資金を積み立てたいので、3年の定期預金を選ぶ、10年後までに住宅ローンの頭金を用意したいので10年の定期預金を選ぶといった使い分けもおすすめです。
また手元にお金があるとついお金を使ってしまう方にとっては、自由にお金が引き出しできないという点もメリットになるでしょう。
積立定期預金や定期積金であれば、コツコツと少額から積み立てていくことも可能です。
定期預金は元本割れしない反面、大きく増やすことは期待できません。定期預金に関する主なデメリットについても3つ紹介していきます。
定期預金は金融商品の中では金利が低い部類に入るため、インフレに弱い傾向があります。インフレとは「インフレーション」のことで、モノやサービス価格の上昇に伴い、お金の価値が相対的に低下することを指します。
たとえば翌年200万円の車を購入するために、年利0.2%の定期預金に200万円を預けておいたとします。仮に物価が2%上昇した場合、車の価格は1年後204万円に上昇しますが、定期預金に預けていたお金は4,000円しか増えません。
もし年利3.0%の何らかの金融商品で期待通りの運用ができていたら、1年後は206万円になるため、204万円の車は購入できていたでしょう。
このようにインフレ局面では、利回りの低い商品で運用すると資産価値が目減りしてしまいます。
定期預金は一定額までの元本保証はありますが、インフレ局面では資産の目減りという目に見えにくいリスクが生じるため注意が必要です。
定期預金を満期前に中途解約をする場合、中途解約利率が適用されます。中途解約利率は当初約束していた利率よりも低くなるため、一般的に預入時に期待していた金利を受け取ることはできません。
定期預金を選ぶときは、自身に合った預入期間を選ぶことが大切です。
また急な入院や冠婚葬祭、事故などでお金が必要になる場合もあります。
万が一のことが起きて、せっかくはじめた定期預金を中途解約することがないよう、緊急で必要な資金として生活費の3ヶ月~1年分は普通預金口座に確保して、残った金額を定期預金に預けるようにしましょう。
定期預金を満期前に中途解約をする場合、中途解約利率が適用されます。中途解約利率は当初約束していた利率よりも低くなるため、一般的に預入時に期待していた金利を受け取ることはできません。
定期預金を選ぶときは、自身に合った預入期間のものを選ぶことが大切です。
また急な入院や冠婚葬祭、事故などでお金が必要になる場合もあります。万が一のことが起きて、せっかくはじめた定期預金を中途解約することがないよう、定期預金に預けるのは余裕を持った金額に設定しておきましょう。
不安な方は、期間の短い定期預金を活用する方法もおすすめです。
定期預金の利息には、20.315%の税金がかかります。
定期預金の利息については一定の要件を満たした方を除き、税制優遇などはありません(iDeCoや企業型確定拠出年金で定期預金を選択した場合、利息は非課税となります)。
決して高いとは言えない金利に税金がかかるという点は考慮しておくべきでしょう。
定期預金とは預入期間中は自由に引き出しができない代わりに、普通預金金利よりも高い金利が設定されている金融商品です。
定期預金はさまざまな分類方法がありますが、大きく固定金利と変動金利に分けられます。また外国の通貨に交換してから定期預金に預ける外貨定期預金もあります。
定期預金は一定額まで元本保証があるため、計画的にお金を増やせる反面、大きく増やすことはできません。
インフレにも弱い金融商品なので、必要に応じて、投資信託や株式、債券といった商品も検討してみましょう。
<執筆者プロフィール>
金子賢司(かねこけんじ)
CFP
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。