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2025.02.07

30代の平均貯金額はどのくらい?効率的でおすすめの貯蓄方法をご紹介!

30代の平均貯金額はどのくらい?効率的でおすすめの貯蓄方法をご紹介!

 

30代となり、将来のお金のことを考えると、「他の30代の方は一体どうやりくりしているのか」と気になる方もいるのではないでしょうか?この記事では、公的データに基づいた30代の平均貯蓄額や中央値を紹介しています。

 

またこれから待ち構える大きなライフイベントと、それにかかる費用の目安や、貯金の方法についても解説します。

 

30代で将来のお金について不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。

 

30代の貯蓄額の平均値・中央値はどのくらい?

はじめに、30代の平均貯蓄額を紹介します。平均値だけでは偏った値になる可能性があるため、中央値についても見ていきましょう。

 

平均貯蓄額は単身世帯が443万円、二人以上世帯が408万円

 

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、30代(金融資産保有世帯)の平均貯蓄額は単身世帯443万円、二人以上世帯408万円、金融資産保有額の平均は単身世帯912万円、二人以上世帯856万円となっています。

 

【平均貯蓄額】

単身世帯 二人以上世帯
20歳代 118万円 170万円
30歳代 443万円 408万円
40歳代 473万円 501万円
50歳代 839万円 663万円
60歳代 972万円 1,130万円
70歳代 929万円 964万円

【平均金融資産保有額】

単身世帯 二人以上世帯
20歳代 219万円 403万円
30歳代 912万円 856万円
40歳代 964万円 1,236万円
50歳代 2,288万円 1,611万円
60歳代 2,240万円 2,588万円
70歳代 2,104万円 2,188万円

 

金融資産とは、預貯金の他、金銭信託、生命保険、損害保険、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などを指します。

 

また、こうした金融資産を全く保有していない世帯は、単身世帯で34.0%、二人世帯で28.4%にのぼります。

 

ただし平均値は、あくまでもデータをすべて足した後にデータ数で割った数値のため、一部、多額の貯蓄や金融資産を保有している数値に引っ張られてしまう可能性があります。

 

そのため、統計を見る上では、中央値もあわせて確認することが大切です。

 

貯蓄額の中央値は単身世帯300万円、二人以上世帯337万円

 

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」は貯蓄額の中央値が存在しないため、金融資産保有額の中央値を見ると30代(金融資産保有世帯)は単身世帯300万円、二人以上世帯337万円となっています。

 

中央値とはデータを並べたときに、中央に位置する値のため、一部の極端な値の影響を受けにくい点が特徴です。そのため、より実感に近い数字になるといわれています。

 

【金融資産保有額の中央値】

単身世帯 二人以上世帯
20歳代 103万円 171万円
30歳代 300万円 337万円
40歳代 500万円 500万円
50歳代 555万円 745万円
60歳代 1,100万円 1,200万円
70歳代 1,100万円 1,100万円

参考までに、30代の単身世帯と二人以上世帯の金融資産保有額と割合もご紹介します。

単身世帯 二人以上世帯
100万円未満 22.0% 17.2%
100~200万円未満 9.3% 13.8%
200~300万円未満 11.2% 10.6%
300~400万円未満 9.3% 7.8%
400~500万円未満 6.1% 6.3%
500~700万円未満 8.4% 9.3%
700~1,000万円未満 5.1% 7.3%
1,000~1,500万円未満 11.2% 8.8%
1,500~2,000万円未満 2.8% 3.0%
2,000~3,000万円未満 4.7% 3.7%
3,000万円以上 6.1% 5.6%
無回答 3.7% 6.7%

 

30代以降で必要になる支出はどのくらい?

30代以降で必要になる支出はどのくらい?

 

30代は生活費だけでなく、将来訪れるライフイベントのお金も用意しておく必要があります。ライフイベントとは、結婚や子育て、住宅購入など人生の中でも大きなお金がかかる出来事のことです。

必ずしもすべてのライフイベントを経験するとは限りませんが、それぞれのライフイベントがどのくらいの費用となるのかを把握する際に役立ててください。

 

日常生活にかかる費用

 

総務省統計局「家計調査(家計収支編)2023年」によると、30代の1ヶ月の平均支出は、二人以上世帯で27万5,491円、総世帯で241,932円です。

 

一般的に30代になると、結婚をして子どもを持つ世帯が増えてくるため、世帯の支出が増加し始める年代です。

 

【30歳の1ヶ月の平均支出】

総世帯 二人以上世帯
合計 241,932円 275,491円
食料 64,792円 76,835円
住居費 27,342円 20,924円
光熱・水道 17,430円 21,064円
家具・家事用品 10,178円 13,655円
被覆及び履物 8,765円 11,127円
保健医療 9,408円 12,393円
交通・通信 37,365円 41,940円
教育 5,259円 7,997円
教養娯楽 28,344円 29,935円
その他の消費支出 33,049円 39,621円

 

結婚にかかる費用

 

リクルート ブライダル総研が毎年発表している「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、挙式・披露宴・ウェディングパーティーの総額の平均は327.1万円です。

 

ただし結婚にかかる費用は地域性も大きく影響し、最も低い北海道では203.1万円、もっとも高い首都圏では356.3万円と差があります。

 

また、ご祝儀の平均は197.8万円、親からの援助の平均は163.7万円です。

 

ただし親からの援助を受けた人の割合は73.5%となっているため、さまざまな事情で援助を受けられない人も含んでいる点には注意が必要です。

 

 

出産にかかる費用

 

厚生労働省 保険局保険課「出産費用の見える化等について」によると、出産費用の平均は正常分娩のみで482,294円、異常分娩を含めると468,756円となっています。

異常分娩を含む 正常分娩のみ
全施設 468,756円 482,294円
公的病院 420,482円 463,450円
私的病院 490,203円 506,264円
診療所 482,374円 478,509円

公的病院・・・国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構等
私的病院・・・私立大学病院、医療法人病院、個人病院
診療所・・・官公立診療所、医療法人診療所、個人診療所、助産所等

 

ただし、水道光熱費や消耗品、医療機器の高騰などの理由で、出産費用は上昇傾向にある点も考慮しておく必要があるでしょう。

 

公的医療保険の加入者には50万円の出産一時金が支払われますが、マタニティグッズやベビー用品など、出産に伴って生じる支出がある点も考慮しておきましょう。

 

 

住宅購入にかかる費用

 

住宅購入支援機構「フラット35利用者調査」によると、住宅購入した方の所要資金は、全融資区分平均で3,864.5万円となっています。

 

融資区分 平均所要資金
マンション 5,245万円
土地付注文住宅 4,903万円
注文住宅 3,863万円
建売住宅 3,603万円
中古マンション 3,037万円
中古戸建 2,536万円
平均 3,864.5万円

物件価格は立地や築年数で大きく異なるため、自身が住みたい地域の情報を把握しておくことが大切です。

 

 

教育にかかる費用

 

文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園(3年保育と仮定)~高校卒業まですべて公立の場合は約574万円、すべて私立の場合は約1,838万円がかかります。

 

また、大学でかかる費用は、文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より、国立が約242万円、公立が約253万円、私立が約396万円となっています。

 

【小学校~高校までの教育費(年間)】

公立 私立
幼稚園 16万5,126円 30万8,909円
小学校 35万2,566円 166万6,949円
中学校 53万8,799円 143万6,353円
高等学校(全日制) 51万2,971円 105万4,444円

【大学入学~卒業までの教育費】

国立 公立 私立
入学金 28万2,000円 39万1,305円 24万5,951円
授業料(年間) 53万5,800円 53万6,363円 93万943円

子どもの教育費は大きなお金がかかるため、早めに準備にとりかかる必要があります。場合によっては奨学金の利用も検討しましょう。

 

文部科学省は、令和2年度より返済不要の給付型奨学金を拡充しています。

 

 

30代で貯金していくためのポイント

将来起こるライフイベントでは大きなお金がかかるため、計画的に準備をする必要があります。30代の方が貯金していくうえで、押さえておきたいポイントを解説します。

 

家計簿をつける

 

家計簿とは毎月の収入や支出を記録する帳簿のことです。市販の家計簿専用ノートを利用するほか、近年ではレシートを撮影するだけで支出が登録できる便利な家計簿アプリも登場しています。

 

家計簿をつけると、毎月の収入がいくらあり、何にどのくらい使ったか、いくら貯金ができたかが一目でわかります。

 

「余分な支出はなかったか?」「もっと節約できる支出はないか?」など、過去の家計簿を分析して改善することで、さらに貯金額が増やせるでしょう。

 

 

家計の見直しをする

 

貯金の必要性を感じたら、あらためて現在の家計の見直しをしてみましょう。

 

家計の見直しは、毎月の支出のうち、定額またはほぼ定額で発生する「固定費」を優先的に見直すことをおすすめします。

 

代表的な固定費としては、家賃、水道光熱費、保険料、通信費などがあります。

 

固定費を優先的に見直したほうが良い理由は、手続きに手間がかかる傾向がある反面、見直すことができれば節約できる金額が大きいからです。

 

一方、食費や交際費など毎月、支出額が変動する「変動費」の見直しも効果がないわけではありません。しかし安い店を探し回る、商品ごとに安く買えるのはどこか比較するなど、労力の割に効果が少ない傾向があります。

 

貯金専用の口座を開設する

 

計画的に貯金をしたい方は、給料などの収入が入っている口座とは別に、貯金専用の口座を開設しましょう。

 

貯金専用口座を作って貯金しておけば、欲しいものを見つけても衝動的に現金を引き出してしまう心配が減るためです。

 

また貯金専用口座を開設したうえで「先取り貯金」をすると、より計画的にお金を貯めやすくなります。

 

先取り貯金とは、積立預金や財形貯蓄などを使って、まず毎月の収入から貯金したい金額を貯金専用口座に移す仕組みを作り、残った金額だけでやりくりする方法です。

 

お金を増やす方法

お金を増やす方法

 

将来のライフイベントにかかるお金に備えるためには、効率的にお金を増やすことも大切です。ここでは3つの方法を紹介します。

 

積立定期預金

 

毎月5,000円、1万円など定額を、毎月決まった日に積み立てることができる定期預金です。積立日や積立額がある程度自由に選べるため、自身の目的や必要な時期に合わせて、計画的に貯金ができます。

 

【メリット】

  • 普通預金から自動振替で積み立てるため手間がかからない
  • 普通預金よりも金利が高い傾向がある
  • 金融機関が破綻しても、1,000万円と破綻日までの利息が保証される

【デメリット】

  • 投資信託などの金融商品に比べると利回りが低い傾向がある
  • 税制優遇がない

 

iDeCo(イデコ)

 

iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、掛金を拠出し、自身で商品を選んで運用する制度です。掛金の全額が所得控除になるなど、税制面での優遇が受けられる反面、60歳まで引き出せないなどのデメリットもあります。

 

【メリット】

  • 掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税が軽減される場合がある
  • 運用益が非課税
  • 受取時も税制優遇が受けられる

【デメリット】

  • 原則、60歳まで引き出しができない

 

NISA

 

NISAで資産運用をして効率的にお金を増やす方法もあります。NISAとは少額投資非課税制度のことで、NISA口座で運用すれば、運用益に税金がかかりません。

NISAは成長投資枠とつみたて投資枠の2つに分かれており、このうち成長投資枠は比較的リスクが高い商品も選ぶこともできるため、大きな利益が狙える可能性があります。

一方、つみたて投資枠は金融庁の基準を満たした投資信託からしか選ぶことができないため、成長投資枠に比べ選択肢は限定されています。

成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、自身のリスク許容度や考え方などに応じて商品を選びましょう。

また1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)の非課税保有限度額や年間投資枠が決められており、この範囲内で自由に売買ができます。

投資信託などは元本割れ等のリスクがありますが、お金を増やしたい方は検討してみましょう。

 

【メリット】

  • 年間360万円(つみたて投資枠、成長投資枠合計)までなら運用益に税金がかからない
  • 非課税保有期間が無期限で利用できる
  • 売却して空いた非課税保有限度額が翌年以降再利用できる

【デメリット】

  • 対象となる商品は元本割れ等のリスクがある

 

まとめ

30代の平均貯蓄額は単身世帯が443万円、二人以上世帯が408万円となりました。
30代は生活費以外にも、大きなライフイベントが多く控えているため、計画的に貯金をして備えておくことが大切です。

家計の見直しや貯金専用口座を活用すれば、よりお金が貯まりやすくなるでしょう。

さらに効率的にお金を貯めたい方は、積立定期預金やiDeCo、NISAなどの活用もおすすめです。

 

<執筆者プロフィール>

金子賢司(かねこけんじ)
CFP
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。